同窓会会長より

2010年05月05日

同窓会会長 一柳やすか


 4月初めに「卒業後50年の卒業生」や「大学の新入生たち」を優しく華やかに迎えてくれたキャンパスの桜たちは、中旬ともなれば殆ど花を散らし、替わって目を引くのが可憐な草花たちである。
キャンパスの西北端、「72年館」(同窓会館)近くの一角を、ランジンサイ(紫)① ハナニラ(白)② 幅広のフキ(柔らかい緑)③ ツワブキ(艶のある濃緑)④などがそれぞれ群をなして彩りよく大地を染めている。 
 
 ランジンサイ(ムラサキダイコン、ショカツサイともいう)で思い出すのは天達文子先生である。
50年ほど前のことになるが、学生時代のある時、「今うちの庭がきれいだからいらっしゃい」とお茶に呼んでくださった。
私はお宅の庭を埋め尽くしている紫色の花に目を見張った。
先生はこれが諸葛孔明にちなんでショカツサイとよばれていること、また先生が西川先生*からいただいた種を大切にして増やしたものであることなど話してくださった。
「うちの庭にあるのはこれだけよ」とおっしゃりながらも、ちょっとお得意そうであった。

 諸葛孔明は「戦死」ではなかったようであるが彼の血の色を移しているという。
「血の色」といえばヒヤシンスはギリシャ神話のヒュアキントスに因んでいる。
ヒュアキントスはアポロ神の寵愛を一身にうけた美少年であったが、ある時アポロ神の投げた円盤が誤って少年を殺してしまった。
アポロ神は深く嘆き悲しみかつ後悔して,少年の傷口からしたたり落ちる血を「濃い紫の悔いをたたえる花」に変えてやったという。
それ以来、毎年春になるとあの美少年はよみがえるのである。
紫色の可憐な花が洋の東西で同じく英雄たち?の赤い血を連想させるのが興味深く思われる。

                     * 西川正身(1904-1988)アメリカ文学者

                           参考:オウィディウス『変身物語』


①ランジンサイ
同窓会会長より


②ハナニラ
同窓会会長より


③フキ
同窓会会長より


④ツワブキ
同窓会会長より





Posted by 永遠の乙女 at 19:00│Comments(4)
この記事へのコメント
はじめまして。天達文子の親戚にあたるものです。
父が文子おばさんの甥でした。
文子おばさんと忠雄おじさんには子供が居なかったので
私の父が息子のように可愛がられて育ちました。

今、私は結婚して天達姓ではなくなってしまいましたが、
妹が天達姓をついでいます。

文子おばさんのお墓参りにもよくいっています。

自分の旧姓が出てきてとてもうれしく思い、書き込みしました。
Posted by はじめまして at 2010年09月03日 23:44
>はじめましてさま

コメントありがとうございます。
私自身は天達文子先生を存知あげないのですが、このようにブログを見つけてくださったことに深い縁を感じます。

天達先生のお墓参りにもよく行かれるのですね・・・
どうぞ、東京女子大学に先生が撒かれた種のことをお話ください。
そして、これからも私たちと繋がってくださることを祈ります。

本当にありがとうございました。
Posted by 永遠の乙女永遠の乙女 at 2010年09月04日 00:10
はじめましてとコメントしたものです。えりこと申します。
今年も文子おばさんのお墓参りに行き、
きちんと報告をしてまいります。

天達の墓に行き、神に感謝し、
このように、おばさんの名前が載っているだけでも
心から嬉しく思いました。

私は違う女子大でしたが、東京女子大の同窓生、同窓会の皆様に幸せが訪れますように、心よりお祈り
申し上げます。

おばさんもきっと、天国で喜んでいると思います。
Posted by えりこ at 2010年09月09日 22:27
>えりこさま

こんばんは。
香川は、今日は少し涼しくなりましたが、えりこさまのお住まいの方はいかがでしょうか?

私たちこそ、天達先生の御親戚の方と、ブログを通じてお話しでき、とても嬉しく思っております。

今も天達先生のお宅にランジンサイは咲いているのでしょうか・・・
Posted by 永遠の乙女永遠の乙女 at 2010年09月09日 22:54
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    コメント(4)